2007年ノーベル物理学賞受賞者アルベール・フェール氏が来日 [fr]

 フランス国立科学研究センター(CNRS)、ターレス物理学共同研究所のアルベール・フェール科学部長が今年1月末、スピントロニクス関連の3つの国際シンポジウムに出席するために来日しました。フェール氏はハードディスクの技術を一変し、記録容量を1,000倍に増大させた巨大磁気抵抗効果(GMR)を1988年に発見した功績によって、2007年ノーベル物理学賞を受賞しました。またスピントロニクスの創始者の一人とされています。東京滞在中のアルベール・フェール氏に2つの質問をしました。

大使館 アルベール・フェールさん、スピントロニクスの重要性はどこにあるのでしょうか?

フェール氏 それはエレクトロニクスの将来を開く道の一つです。従来の半導体ベースのCMOSエレクトロニクスは、この先10年ほどで容量開発の限界に達すると予測されています。つまりコンピューターの能力とハードウェアーの複雑さが何年も前から従ってきた「ムーアの法則」が終えんを迎えるわけです。そのため従来のCMOSエレクトロニクス技術に代るものを見つけなくてはならないのですが、電子スピンの特性を利用するスピントロニクスは、最も検討されているものの一つです。

 例えば将来、スピントロニクスによって不揮発性メモリーSTT-RAMが使えるようになるでしょう。CMOS技術による現在の揮発性メモリーRAMは電気を多量に消費していますが、この次世代メモリーRAMはそれを削減することができます。

 スピントロニクスはニューロモーフィック・コンピューターを考えるのにも大変興味深い方法の一つです。回路が一度決まれば変えられない従来のコンピューターと異なり、この次世代コンピューターは人間のシナプスがもつ可塑性を生み出し、自律学習機能を持つことができるでしょう。さらにニューロンが持っている能力、「正しい」か「間違い」かという単純なフィルターを通すより巧みに重要度や反復度によって情報を選別する能力を生み出すこともできるでしょう。

大使館 研究者であるフェールさんにとって日本とは何でしょうか?

フェール氏 日本には定期的に来ています。もちろん研究の世界は完全に国際化していますが、私は日本に来ることが重要だと思っています。日本の研究者は優れているだけでなく誠実だからです。彼らとの交流は定期的で長期にわたって続いており、多くを学ばせてくれます。

 フェール氏の東京滞在中に行われたインタビュー記事が、科学雑誌「NEWTON」ipad英語版の次号に掲載されます。ipad日本語版および「NEWTON」紙版には、後日掲載される予定です。

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最終更新日 23/02/2016

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