脳疾患の進行とメカニズムに関する第2回国際シンポジウム [fr]

 第2回国際シンポジウム「分子マシーンとしての脳とその疾患」が2013年5月27、28日、フランス大使館で開催されました。神経科学にかかわるさまざまな領域の最新成果を共有するため、国内外から20人近くの発表者が集まりました。

 第2回国際シンポジウム「分子マシーンとしての脳とその疾患」が2013年5月27、28日、フランス大使館で開催され、脳疾患の進行とメカニズムが取り上げられました(添付プログラム参照)。神経科学にかかわるさまざまな領域の専門家である17人の発表者 (日本人9人、フランス人3人、アメリカ人4人、カナダ人1人)が国内外から集い、40人あまりの聴講者(専門研究者やポスドク)を前に、それぞれの研究の最新成果を発表し、意見交換を行いました。

 国際研究協力の優先課題である神経変性疾患

 人口の高齢化が進む現代社会において、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患は、がん、心血管疾患と並んで、公衆衛生における3つの重要課題のひとつといえます。近年、これらの疾患の発生にかかわる現象の解明において進展がみられ、大きな期待も生まれましたが、神経変性疾患の発生に関してはわからないことが多く、確実な治療法は存在しません。現存する薬品は症状の進行を遅らせることしかできないのです。

 パリでの開催に続く「第二回国際シンポジウム」

 本シンポジウムは、フランス国立保健医学研究機構(Inserm)とフランス神経科学学会に所属するクリスチャン・ネリ博士の主導で開催されました。 第1回シンポジウムは2008年にパリで開催されたましたが、参加者はフランスを含むヨーロッパと北アメリカの研究者に限られていました。ネリ博士は、慢性疾患におけるストレス反応などの加齢の問題や神経変性疾患に関する国際研究交流網を日本にも広げたいと考え、フランス大使館科学技術部が彼の希望に応じることで、この第2回シンポジウムが東京で実現したのです。

 本シンポジウムの特徴は徹底的な学際的アプローチ

 本シンポジウムにおいては、発生生物学、加齢生物学、ヒトゲノム、システム生物学、生物数理的モデル化などの最近の研究貢献に価値をもたらすような、最も効率的な学際的アプローチをはかることを目指しました。特に、臨床・治療研究へ知見を直接移転することで患者との接点を保ちつつ実現した、細胞内メカニズム、分子マシーンのダイナミクスなどの精密な分析も取り上げられました。さらに、慢性ストレス反応や脳の老化などの研究から治療への新しい手がかりを見出すといった期待にも、本シンポジウムは応えるものでした。

 参加者の感想からも、本シンポジウムがこれらの特徴において他の通常の国際シンポジウムとは異なり、実りある討論や意見交換が可能になったこと、特に新しい研究戦略に対する共通の視点を分かち合えたことが評価されたことがうかがえました。この新しい研究戦略は、サクセスフルエイジングや神経変性疾患対策といった分野の公衆衛生政策を定める上でも効果的に寄与し得るものです。

 本シンポジウムの成果

 遺伝子神経発生学的・ポスト発生的な要因の役割、さらに、加齢や長寿の要因の役割に関して、方法論の短縮化や概念的な促進に基づく学際的アプローチが価値あるものであることが、本シンポジウムで確認されました。

 こうした学際的アプローチの利点は、対象疾患と研究目的に応じて異なったモデルを結びつけられるという可能性にもみられました。例えば「遺伝性神経変性疾患から老化」「老化から脳疾患」など、ある領域から別の領域への概念の移転を体系的に行ったことも、本シンポジウムの特筆すべき傾向であったといえます。研究者同士が補完しあい、各々の視点が国際レベルで結びつき、素晴らしい成果を残して本シンポジウムは閉幕しました。 

- シンポジウムのプログラム

最終更新日 23/02/2016

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