偽造医薬品対策を先導するフランス [fr]

 カウンターフィット薬(偽造医薬品)の不正取引は近年増加する一方です。特に脆弱な立場にある犠牲者は治療していると信じているのに、せいぜい気休め程度の偽薬しか受け取っていません。こうした不正取引の元凶である組織犯罪を阻止するには取り締まりが不可欠ですが、最も有効な手立ては国民に注意を呼びかけることです。

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 アフリカ大陸の一般的な都市では、箱入りの医薬品が市場の店先で売られています。専門薬局で購入するよりも低価格なので、社会保険に未加入な上、どうしても治療が必要な患者には魅力的です。そこから何千キロと離れたヨーロッパ連合(EU)のどこかでは、ある男性がインターネットで何回か「クリック」しながらED治療薬を購入しています。いずれも最も良識にもとる犯罪行為である偽造医薬品の不正取引の被害者です。

 これらの商品は見かけが正規品に酷似しています。とはいえ、その多くは主成分が含まれていなかったり、含まれていてもごく微量だったりするので、患者は十分に治療効果が得られないばかりか、回復の見込みもありません。これらの主成分を信じるなど論外で、有毒ですらあります。小麦や砂糖が含まれていたり、なかには重金属やレンガの粉末が入っていることすらあり、中毒症状を引き起こしたり、中には死に至ることもあります。アフリカやアジアでは偽造医薬品の大半が商品化され、しばしば抗生物質やマラリヤ治療薬として販売されています。これらの商品は多くの場合、市場やインターネットで不正販売されていますが、正規の販売ルートで見かけるケースも増えています。世界保健機構(WHO)の推定によると、インターネットで売られている医薬品の半数はカウンターフィット薬です。

 もうかる市場

 年間500億ユーロを超えると推計される偽造医薬品の不正取引は、犯罪組織にとって極めてうまみのある市場です。何よりもまず、医薬品は他の偽造品に比べてはるかに偽造がしやすいのです。さらに麻薬の不正取引とは違い、医薬品の使用者数は潜在的に無限です。私たちのだれもが、いつかは薬を使う可能性があるからです。この不正取引はヘロイン密売の10倍、たばこ密輸の5倍と、他の犯罪活動よりもはるかに大きな利益があります。法的リスクは多くの国で軽微にとどまり、偽造医薬品の不正取引は一般的に罰金刑に課せられるだけです。これらの商品はアジアで製造され、説明書は中央アメリカで作られ、北ヨーロッパやアフリカに流通することもあります。いずれにしろ、国際的に広がる犯罪ネットワークにとって、これほどうまいもうけ口はなく、だれもが彼らの悪事の被害に遭うかもしれないのです。

 強力な取り組み

 フランスは特に途上国において、医薬品アクセス問題への取り組みが長く、偽造医薬品対策に決定的な形で取り組んできました。2006年には航空券連帯税の導入によって、フランスは国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)創設の原動力となりました。現在はUNITAIDの主要拠出国で、総予算の60%を占めています。今日、フランスはヨーロッパのパートナー国とともに、WHOが「偽造医薬品」の定義を考慮に入れるよう働きかけています。真の公衆衛生問題の国際的認知において、それだけでも大きな一歩です。というのも、本来の課題は何よりもまず未然防止であり、貧困国をはじめとする各国が、この不正取引がすべての人の健康にもたらす悲劇的なリスクを認識し、犠牲者になるかもしれない消費者に注意を呼びかけるようにすることだからです。

 フランスおよびシラク財団の発案で、円卓会議が去る9月にブルキナファソの首都ワガドゥグーで開催されました。西アフリカのさまざまな政府パートナーが集まった同会議は、参加国全体が大きく動き出すきっかけになるなど、すでに成果を挙げました。フランスのもう1つのイニシアティブは、地域の薬局で販売される医薬品の12%が偽薬であるメコン川流域を対象とします。フランスは偽造医薬品対策担当特使を任命し、この不正取引と闘うため、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナム各国当局を積極的に援助しています。国民にリスクを周知させることは確かに重要課題ですが、この不正取引の元凶である犯罪組織に対抗するため、警察、税関、司法の3者の協力を促進する必要があります。

 取り締まりの強化

 というのも、未然防止は問題に見合う規模の取り締まりを伴うべきだからです。こうした理由から欧州評議会は2010年12月、医療品の不正取引に特化した国際的な法的枠組みである「メディクライム」と呼ばれる国際条約を策定しました。その目的は犯罪の法的定義を一元化し、これらの問題に関する警察と司法の協力を拡大することです。すでに12カ国が10月28日、モスクワでこの条約に署名しました。

 WHOは世界レベルの戦略を決めるために、世界各国からさまざまな専門家を招いて定期的に会合を開いています。国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)も警戒態勢を敷き、すでに複数の大規模な取り締まりを行いました。インターポールは定期的に大量の偽造医薬品を押収しています。消費者の警戒心に加えて、各国の連携した取り組み、警察および税関の介入が、この新しい犯罪形態の拡大を阻止する唯一の盾なのです。

最終更新日 05/12/2011

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