在日フランス大使館新庁舎の設計・施工における持続可能な発展への配慮 [fr]

ADPI

 ADPIはコンペに向けた準備段階で、コンソーシアムの日本側企業と緊密に協力しながら、新大使館の持続可能な開発の方針を構想した。

 最初にフランスの規準HQE(環境高品質)に基づいて達成すべき目標を設定し、これを日本の環境規準CASBEE(建築環境総合性能評価システム)に置き換えた。

 この断固とした取り組みはコンペの段階から、江戸時代の遺産である庭園をはじめ、既存敷地に与える影響を最小限に抑えて、大使館を建設する方向へと導いた。次の5つの優先目標を掲げた。

  1. 既存緑地の保護および有効活用、新庁舎の影響低減によって、敷地に最良の形で組み込む
  2. 雨水の回収・再処理、緑化屋根の設置による水の管理
  3. 断熱の最適化、エネルギー管理制御システムの導入、自然換気の最適化による省エネルギー化の追求。冬はエネルギー捕捉装置、春秋は換気口(温度差による浮力を利用)、冬は温度保護装置として機能するようにアトリウムを構想
  4. リサイクル可能な建材の使用、耐久性と安全性に配慮した建築方法の採用
  5. 外部・内部遮音性、自然光採光の最適化、人工照明の効率化、高い天井、リラックススペースの確保による屋内快適性の追求

 これらの目標は、設計段階から建築段階に至るまで、日本の環境規準CASBEEに適合された。この規準によって、プロジェクトの環境品質・性能と外部環境負荷との関係を科学的に評価することができた。利用者の快適性や日本の規準に則った設備の完璧なメンテナンス性およびフレキシブル性に対しても配慮された。最後に、これら全体がBEE(環境性能効率)4.1を取得し、プロジェクトは最高ランク「S」に格付けされた。

 このようにして新しい大使館は、持続可能な開発の真の作品として現れた。新庁舎は利用者に対して、身近にある庭園の樹木に接したり、各階のオフィスから眺めることで、敷地内の豊かな自然環境との親密な関係を提案する。

 自然景観への影響を抑える建物の配置案が維持された。この配置案は道路に面した隣接地の取得によりさらに改善された。建物の配置を南側にずらし、庭園の大きな樹木をさらに保護することができた。折れ曲がった形状と伸びた曲線で構成された建物は、自然の中に溶け込んでいるうえ、貴重な自然をいっそう引き立たせている。その形状は利用者に対し、日本人が健康のために大切にする調和を提案している。

 こうした敷地内の建物配置によって、既存緑地を最大限に保護することができた。一部の樹木は慎重に移植された。敷地周辺に新たな植栽を施し、森林の正面下に果樹を植えるなど、植生が補完された。これによって界隈に生息する一部の動物や鳥にとって自然の避難所が増えた。

 この建物配置は持続可能な開発の概念における文化遺産保護への配慮にも対応し、江戸時代に設置された屋外の灯ろうの保存を可能にした。同様に、新庁舎図書館の一般公開も地域性への配慮として、CASBEEの高評価に寄与した。

 建物の向きと形状も、外部環境に対する物理的・熱的負荷を考慮して決められた。例えば、水消費管理に関しては綿密な検討がなされた。消費される水の20%は、雨水を回収、貯水、ろ過した水である。すべての衛生設備に水消費管理システムが導入されている。

 建築の面では、最新の地震対策技術が導入された。建物は免震構造により地盤から絶縁されているので、地震の振動による損傷を抑制できる。鉄骨構造は強い地震に耐えるように耐震計算がなされ、外壁は最も激しい揺れも吸収して損傷しないように、鉄骨造に引っ掛けるように施工されている。

 省エネルギー化も目標に掲げられた。何よりもまず、外部を覆う断熱部分(壁、ファサード、屋根)の選択が挙げられる。具体的には、Low-Eガラス(アルゴンガスを封入した複層ガラス)、構造体とコンクリートパネルによる外断熱、雨水ろ過層となる緑化屋根などである。さらに春秋における自然換気の使用、空気処理調整システムの導入、省エネルギー型の照明器具の採用などがある。

 静かな職場環境を確保し、一部行事の非公開性を守るため、屋外から屋内に入る騒音や屋内から屋外に出る騒音、さらに屋内騒音に関して、十二分の対策が施されている。自然光やオフィスから見える景観は、大使館の特長を引き立てている。

 資源や資材は、それぞれの環境保全性に基づいて選択、採用された。例えば、木製もしくはカーペットのリサイクル可能な床材、金属製の仕切り壁など、リサイクル材が多数使用されている。有害物質を含まない建材も選択、使用された。

 各オフィスにおける照度や空調の個別管理も、職場の快適性に寄与している。フレキシブル性とメンテナンス性を確保するため、オフィスには可動性の間仕切り壁が採用され、二重床が多用されている。

 その他にも、日本の環境規準は設備のみならず仕上げ材のメンテナンス性も評価対象としている。選定した資材の品質ならびに耐用性も入念に調査された。すべての設備および仕上げ材のあらゆる個所へのアクセス性も徹底的に審査された。プロジェクトは竣工から15年間アフターメンテナンスを保証し、建設費と維持費を含んだ総合的な費用を考慮している。こうしたすべての要素が最高ランクの格付けの取得につながった。

報道発表資料

最終更新日 07/09/2016

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