大使館新庁舎建設の概要 [fr]

 最初の在京フランス大使館は皇居の北側にあったが、1923年9月の関東大震災で倒壊し、日本政府が1927年に尾張徳川家から買い上げた麻布地区の広大な緑地(2.5ヘクタール)に移転した。アントニン・レーモンド設計による最初の大使公邸と事務棟が1933年に落成、1945年5月の空襲で破壊された。建物は1957年に再建された(ジェゼフ・ベルモン設計)。フランスは1972年に敷地を好条件で取得した。

 1957年竣工の建物・設備は、ニーズに則さなくなって長年が経過していた。老朽化した建物は標準以下の状態で、部局も東京各地に点在し、維持費がかさんだうえに、大使館の活動の一体性や良好な機能の妨げとなった。1990年初めに検討された最初の建て替え計画は実現には至らず、フランス政府は2005年、官民パートナーシップの枠組みで画期的な不動産取引に着手することを決定した。2006年2月に開始した入札の結果、MiNTAKコンソーシアム(三井物産株式会社、野村不動産株式会社、株式会社竹中工務店、パリ空港公団子会社ADPI、株式会社久米設計)が2007年3月、フランス外務省のフィリップ・フォール事務次官(当時)が議長を務めた審査委員会で選考された。同委員会は建築家の安藤忠雄氏やフランス行政当局の代表者で構成された。その後、各省庁間委員会の賛意を経て、2007年10月29日にMiNTAKコンソーシアムと契約が交わされた。

革新的な不動産取引

 新しい大使館の建設のために採用された計画は、民間部門との革新的なパートナーシップ方式で、外国におけるフランス政府の不動産取引として最初のケースとなった。フランスは土地の一部(総面積の5分の1弱に当たる4,500㎡)をコンソーシアムに定期借地(53年間)し、MiNTAKはその土地に高級マンションを建設し、分譲する。その代価として、MiNTAKは大使館の新庁舎を設計、建築、整備するほか、15年間のアフターメンテナンスを請け負う。MiNTAKコンソーシアムはこの事業の一環として、大使公邸の全面リフォーム・改装(2008年9月完成)に加え、フランスが日本国内に所有する不動産の設備改修工事も行った。具体的には、東京日仏学院、大使館敷地内の職員宿舎、中禅寺別荘などである。

 この事業全体は、改装改修工事も含めて、フランスに一切公費がかからない。

環境性能が極めて高い建物

 大使館の新庁舎は5階建て、延べ床面積4,500平方メートルで、都内に分散していた部局(職員約180人)がすべて入居する。

 ADPI(ピエール=ミシェル・デルプシュ、ドミニック・シャヴァンヌ)による建築プロジェクトは、立地条件の利用法を特徴とする。敷地内に足を踏み入れて、植栽された壁に沿って緩やかな木製スロープを上ると、大使館の新庁舎が少しずつ現れる。北側に面して長く続く全面ガラス張りのファサードは、「庭園に面した開き窓」の少し湾曲した両窓のようにデザインされた。来訪者は大使館の全部局が面する4階まで吹き抜けのアトリウムに迎えられる。フランス外務省により設定された目標(安全性、耐震性、機能性、発展性、環境性能)を順守する構造である。

 設計者はこれらの目標を踏まえた上で、新庁舎を敷地に最良な形で組み込むこと、緑地の保護、雨水の回収と再処理、緑化屋根の導入、リサイクル可能な建材の使用、耐用性と安全性に配慮した建築方法、断熱の最適化やエネルギー管理制御システムの導入、自然換気の最適化などによる省エネルギー化、遮音性能(外部、内部)や自然光採光の最適化、人工照明の効率、高い天井、リラックススペースなどによる室内快適性を追求した。こうした特長により、日本の環境性能評価レベルCASBEE(建築環境総合性能評価システム)で環境性能効率4.1、最高ランク「S」の格付けを取得した。

我が国の意思を反映した新しい大使館

 フランスのベルナール・クシュネール外務・ヨーロッパ問題大臣が2008年6月28日、建物の着工式を主宰した。完成した新庁舎は2009年10月30日に引き渡され、全部局の入居作業は11月中旬に終了した。新しい大使館の落成式は2009年12月11日に行われた。

 この建て替え計画は日仏交流150周年記念を機に具体化が進められ、戦略的パートナーシップによって両国の関係を強化したいとする我が国の意思を表している。この計画は我々のイメージを刷新するとともに、我々の活動を活性化する機会となる。在京のフランス大使館の部局は一部が賃貸オフィスに入っていたが、新庁舎の完成により、全部局が現代的で機能的な建物に入居できたほか、より高品質なサービスを日本のパートナーや在日フランス人社会に提供できるようになる。さらに新庁舎は、フランスの政策である国有不動産資産の合理化、予算節約、最大限の環境配慮などに全面的に則している。

報道発表資料

最終更新日 07/09/2016

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