グラン・パリ計画の10候補プロジェクト

フランスの首都を富と雇用を生み出す世界的競争力ある大都市にするために政府が発表したグラン・パリ計画は、2030年をめどに実現される予定です。この大規模なテーマに関する検討をフランス文化通信省から依頼された内外の10の建築・都市計画事務所が、経済社会評議会に候補プロジェクトをそれぞれ提出しました。その中には、ジャン・ヌーヴェルやクリスチャン・ド・ポルザンパルクといった著名な建築家も名を連ねています。どのプロジェクトも京都議定書後の持続可能な開発、交通網の再編、郊外開発の3大テーマを軸としています。

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パリ大都市圏をどのように再整備するか? 21世紀の大都市とは? エコロジーと経済成長をどう両立させるか? パリの新しい顔は? こうした問題に10の建築事務所(フランス6事務所、外国4事務所)が答えを出しました。その目的はパリを活力、競争力、魅力にあふれる、世界に開かれた都市に変えることです。

この特別な計画は2008年初めに発表され、国、パリ市、イール=ド=フランス地域圏、イール=ド=フランス地域圏市長協会で構成される運営委員会の管轄下に置かれました。この運営委員会は識者23人からなる学術委員会の補佐を受けています。サルコジ大統領は文化通信省に諮問の全体的な統括を委任しました。計画は住民1,500万人に関係します。

際限のない都市計画に一定の方向づけが必要である、交通網を再編成する必要があるという現状に、専門家たちは着目しています。彼らは京都議定書後の都市のあり方を念頭に検討を進めています。輸送にかかる時間を減らすとともに、自然とのふれあいを増やし、自然と都市環境のより一層のバランスを実現することが優先課題となっています。

「私たちはグラン・パリ計画で生き方を創造しなければならない。パリは居住するにせよ、移動するにせよ、何か独創的な方法があると言えるようにすべきだ。端的に言えば、共に生きるための基礎を築かなければならない」とクリスチャン・ブラン首都圏開発担当大臣は述べています。ブラン大臣はパリやニューヨーク、ロンドン、東京などは明日の成長を促す都市であると考えています。とはいえ、この成長を手にするには、何よりもまず、空港やTGV(高速鉄道)の駅などを交通機関で結んで、活動区域へのアクセスを改善する必要があります。この重要な計画の責任者たちにとって、経済開発区域の可視性と知名度の向上がもう一つの目標です。こうした区域として、フランスの製薬産業の50~60%が集中するパリ南郊の都市エヴリー、サン=ドニの芸術創作活動拠点プレーヌ・コミューヌ、研究者1,200人が集まるサクレーのデカルト大学などが例に挙げられるでしょう。

建築家や都市計画家が提出したグラン・パリ計画の10プロジェクトには、地域の新しいアイデンティティーを創案する意志や、首都と郊外の間に連続性を持たせる必要性がとりわけ見て取れます。

クリスチャン・ド・ポルザンパルクにとっては、地区の孤立化を防ぐことが最も重要です。商店街、オフィス街、住宅街などの各拠点を直結して、それぞれが混在するようにします。彼は外周環状道路上に軽量で高速の高架鉄道を建設するように提案しています。また、ヨーロッパ北部の大都市と結ぶために、現在の北駅と東駅にかわる新しい大規模な鉄道駅の建設も考えています。

ジャン・ヌーヴェルは、ジェヌヴィリエとその河川港、ラ・クルヌーヴとその広大な公園といった閑散地区に、歴史的記念建造物を独自に解釈した高層建築やテラスを建設するように提案しています。「私たちが体験している時代の変革は開発モデルの変革を伴う」とヌーヴェルは指摘しています。彼はパリの魅力を高めるために、既存の建造物を利用しながら美化、緑化を進めようと考えています。

ロラン・カストロにとって、パリの威光はその美しさに大きく依存しています。それゆえに、ジェヌヴィリエの河川港に歌劇場を建設したり、ヴィトリ=シュール=セーヌに人工島を造成してビジネス街を整備するなど、郊外の美化を進めたいと考えています。彼は大都市パリを混淆、文化、学術などの象徴的な場所を含む、8枚の花びらからなる巨大な花に変えようとしています。

アントワーヌ・グランバックはセーヌ川流域を開発して、首都圏をル・アーヴルまで拡大する構想を掲げています。彼は特に次のことを前面に押し出しています。「パリをグローバル化という大きな流れの中に位置づけなければならない。その中で海上輸送は中枢を占める。国際的大都市はすべて港湾都市だ。都市の力強さと自然の身近さを改めて融和させる必要がある」

外国の建築・都市計画家によるプロジェクトも負けてはいません。オランダ人建築家ヴィニー・マースは首都の再集中化を進め、ソーラーパネルを屋根に設置する一方、シャルル=ド=ゴール空港を拡張し、空港を森林で囲むことを提案しています。ドイツのフィン・ガイペルは、極めて密集し、機能が充実した「力強い」都市と、柔軟で「軽快な」都市の両面を提示しています。イタリアのベルナルド・セッキとパオラ・ヴィガノは、河川網を重視した「多孔質」の都市を描いています。イギリスのリチャード・ロジャースは、イール=ド=フランス地域圏のガバナンスを再構築するという考えに基づいて、高所得層と低所得層が共存するバランスのとれた街区を提案しています。ロジャースは「10年で、排気ガスを出す自動車のない都市にできる」と指摘するとともに、延べ400㎢におよぶ屋根を緑化して都市に「自然を溶け込ませる」考えを明らかにしています。

グラン・パリ計画の展示会が2009年4月29日から11月22日まで、パリの建築・文化遺産都市で開催され、各プロジェクトの模型が紹介されます。どのプロジェクトを採用するかを決定する作業は、まだこれからです … 。

関連ホームページ
- グラン・パリ計画(フランス語のみ)
- 建築・文化遺産都市(フランス語・英語)

最終更新日 29/01/2010

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