微細な穴開き構造を有する人工粘土化合物の開発とその先端的な機能性開拓に関する研究 [fr]

 SAKURAプログラムのパートナーシップの枠組みの中で、日仏両チームによるイニシアチブで、微細な穴開き構造を有する人工粘土化合物の開発とその先端的な機能性開拓に関する研究が行われています。人工粘土化合物に10憶分の1メートルおよびの100万分の1メートルの「微細な穴開き構造」を導入し、それによって発現する吸着・触媒特性を開拓します。日本側参画者が有する多孔体作製技術とフランス側参画者が有する基礎科学的見識を融合することで、多孔性人工粘土化合物の新奇機能性を拓くことを目標としています。

 在日フランス大使館が支援するSAKURAプログラムの枠組みの中で行われている、ブレーズ・パスカル大学化学研究所、フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員のヴァネッサ・プレヴォ氏、大阪府立大学の徳留靖明両氏による研究プロジェクトを紹介します。材料科学分野のこの研究プロジェクトは、1年目が終了し、2年目も継続して行われています。

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研究の概要

 人工粘土化合物の一種である層状複水酸化物(LDH)は、低環境負荷プロセスで合成可能な環境材料です。その優れた材料特性は、持続可能社会の実現可能に向けて近年大きな注目を集めています。一般的に、身の回りの材料の特性はそれを構成する元素や結晶構造といった要素のほかに、nm(1 nm = 10億分の1 メートル)およびμm(1 μm = 100万分の1 メートル)の構造特性に大きく依存します。本研究では、日仏研究グループが共同で研究を行い、これまで未踏であった「LDHにおけるnmおよびμmスケールの構造が拓く機能性」を調査することを目的としました。大阪府立大学の徳留靖明准教授とCNRSのヴァネッサ・プレヴォ研究員を日仏それぞれの研究責任者として両国研究者が参画します。LDHの微細構造制御は極めて困難であることが知られており、また、その基礎物性は今日においても充分に解明されているとは言い難いという状況下で、独自の多孔体合成技術を有する大阪府立大学と、世界的なLDH研究の拠点として基礎研究をリードしてきたCNRSが共同して研究を進めることで「多孔性LDHの科学」に貢献します。

現時点で得られた成果と、今後期待される効果は?

 精密に制御された微細な穴開き構造(階層的多孔構造)を有する合成粘土化合物(LDH材料)に対して、タンパク質分子が特異な吸着挙動を示すことをこれまでに見出しました。吸着特性はnmスケールおよびμmスケールの構造特性に依存し、自在に制御可能であることが明らかになりました。結果として、種々のタンパク質を失活させることなく大容量に吸着可能なLDH材料を開発することに成功しました。

 微細な穴開き構造を有するLDHは高い比表面積と優れた流体輸送特性を示すため、これを利用した触媒やバイオセンサーの開発が期待できます。ユビキタス元素から構成され温和な条件で合成可能な本材料系は、1)経済性の高い機能性材料を2) 低環境負荷な手法で3)安定供給するという現状の材料科学に対する要求を満たすものと考えます。今後、Jointed pHDプログラムの立案や日仏バーチャルラボの開設を通して人的ネットワークの拡充を図ります。萌芽的な研究成果のうち本研究の枠組みに留まらないものは将来的な共同研究の中で取り扱います。具体的には、本SAKURAプログラムからのシームレスな研究発展をおこなうために、本プログラム終了後にCNRS-JSPS 間の共同研究プロジェクトへの申請を予定しています。

SAKURAプログラムによってもたらされたものは?

 SAKURAプログラムを通して、両国研究グループの先端的な知見・研究技術を共有することができました。加えて、若手研究者・学生の研究留学や合同研究セミナーを行った結果、互いの論理構築手法や異なる研究スタンスを理解することにつながり、次年度以降および将来的な2国間交流に向けた礎を築くに至りました。

SAKURAプログラムについて

 フランス側は外務・国際開発省と国民教育・高等教育・研究省、日本側は独立行政法人日本学術振興会によって支援されている、若手研究者の日仏2国間学術交流推進のための支援制度です。

 選考方法、条件についてはこちらをご覧ください。

最終更新日 03/11/2016

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