ル・モンド紙によるジャン=マルク・エロー外務大臣インタビュー [fr]

 ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣は8月28日、ル・モンド紙のインタビューに応え、ロシアに「政治的手段」に立ち戻るよう呼びかけました。

 フランス外交の基本方針に関する年次会合「大使週間」が8月29日からパリで開催されるなか、ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣はシリアのアサド政権の攻撃激化を非難するとともに、政治的解決の緊急性を重ねて指摘しました。

 政権側の化学兵器使用に関するこれらの証拠によって、情勢は変わるでしょうか?

 だれもが今ではそれぞれの責任に直面しています。政権側は少なくとも2回、自国民に対して化学兵器を使用しました。それは国連安全保障理事会が化学兵器禁止機関と連携して設置した共同調査メカニズム(JIM)の報告書の結論であり、その信頼性に異論の余地はありません。調査官は長期にわたる作業の末、政権側が2013年に化学兵器禁止条約加盟時に結んだ、兵器庫を国際管理下で廃棄するという約束を反故にしたことを証明しました。この報告書はダーイシュ(「イスラム国」)が少なくとも1回、化学兵器を使用したことも明らかにしています。

 アサド政権とダーイシュは恐怖を競い合っています。このような兵器の使用は、政権支持者も含めて、違法であるだけでなく、道徳的にも容認できません。化学兵器の一般化はだれの利益にもなりません。ロシア人は立場を明確にするとともに、この機会を捉えて政治的解決に立ち戻るべきです。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が自ら認めているように、この紛争に軍事的解決はありません。過去5年間の戦争被害は死者30万人超という恐ろしい状況です。

 大臣自身の言葉によれば、「犯された犯罪の重大性に相応の対応」とはどのようなものになりますか?

 我々はとりわけアメリカ人やイギリス人をはじめとする国連安保理のパートナーとともに、国連憲章第7章下でこれらの攻撃を非難する決議、すなわちこれらの犯罪の犯人と、この忌まわしい行為の責任者に対する制裁措置を盛り込んだ決議に向けて尽力しています。安保理が国際刑事裁判所に提訴する可能性もあります。我々は以前から、化学兵器使用のみならず、シリアで行われた戦争犯罪および人道に対する罪の全体を対象に、この仮説を検討していました。とはいえ、段階を踏んで進める必要があります。それゆえにこの報告書があり、今は決議が必要です。国際世論が存在し、ロシア自身もそれに無関心ではありません。政治的、道徳的な力関係を築く必要があり、フランスは大いに貢献できます。

 この紛争は今でもフランス外交の優先課題でしょうか?

 シリアにおける我々の目標は、テロと戦うこと、この脅威からフランス人を守ることです。有志連合における対ダーイシュ軍事行動は成果を挙げ始めています。このグループがイラクでもシリアでも後退しているからです。とはいえ、人道的悲劇の震央であるアレッポで見られるように、紛争の混乱と政権側の増大する残虐行為が過激化を助長しています。包囲され、爆弾で粉砕された町では、ファトフ・シャーム戦線(アル・カーイダ系の旧ヌスラ戦線)のようなグループが台頭し、ロシア空軍に爆撃の口実を与える一方、住民をさらに過激主義者へと押しやっています。

 戦争に勝つよりもむしろ平和を勝ち取ることです。我々は平和と安定を回復し、統一されたシリア、キリスト教徒やクルド人を含む少数者の権利を尊重するシリアのために尽力しています。我々は国連とステファン・デ・ミストゥーラ国連特使を後ろ盾とし、アメリカとロシアが共同で援護する交渉プロセスを支持します。2015年から2016年にかけての冬に、希望の時がありました。それもすぐに消え失せました。政権側がロシアとイランの支持を受けて、見境のない弾圧を選んだからです。

 フランスがグータの化学兵器攻撃を受けて、アサド政権に対する爆撃を望んだ2013年のときのように、アメリカ人が同調しない恐れはありませんか?

 安保理での西側パートナーとの最初の接触は勇気づけられるものですが、それでも慎重でありたいと思います。政治的交渉を本格再開するジョン・ケリー国務長官の意思に偽りはないと感じています。我々の目標は安保理で非難を獲得すること、さらに一歩踏み込んで政治的交渉の再開に必要な条件を整えることです。ところで、化学兵器使用に関するこの報告書の公表前でさえも、軍事的解決の失敗の象徴そのものであるアレッポ包囲のせいで、すでに困難な状況でした。この機会を捉えて、ロシア人に政治的手段への道に立ち戻り、彼らが陥った軍事的な罠から脱出する好機だと言わなければなりません。

 安保理でのロシアの拒否権発動を懸念されていませんか?

 ロシアは敵ではなく、パートナーです。我々はロシアだけでなく、イラン、サウジアラビア、アメリカ、トルコとともに解決策を模索しています。ロシアには紛争解決で果たすべき決定的な役割があります。彼らはジュネーヴで政治的解決と交渉再開を望むと確かに表明したのでは? 私は彼らにシリアのアサド政権を非難し、爆撃を止めるように言います。ロシアは二枚舌を使うことはできません。すなわち政治的解決を望みながら、まるで政権側の勝利が可能かのように、軍事的にしか行動しないということです。政権側は武力で勝利することはできません。ジュネーヴでだれも体面を失うことなく、再び交渉のテーブルにつくことに共通の利益があります。

 ロシアはシリア紛争で公正な判断を下す立場にないかもしれないと?

 ロシアは新たに役割を演じたいと望む大国です。それは理解できます。先ほど申し上げたとおり、パートナーですが、一筋縄では行かないパートナーです。ロシアとは明快である必要があります。我々は10月にパリを訪問予定のプーチン大統領ともそうあるつもりです。

 シリアの反体制派が今でも交渉の有用性を信じているとお考えですか?

 現在の状況が不信感を生んでいます。例えば、ダマスカス郊外のダラヤから戦闘員700人と民間人を退去させる合意が見いだされましたが、反体制派は懐疑的です。我々自身も同様です。一旦退去したら、これらの戦闘員と住民に何が起こるでしょうか?

 トルコが戦争に乗り出すのは、良いことですか?

 トルコが同国に大打撃を与えているダーイシュとの戦いに正面から介入するのは良いことです。トルコが国境の安全を確保するのも当然のことです。とはいえ暴力の連鎖と、シリアでクルド問題の一部を処理したいという誘惑の可能性には注意しなければなりません。我々はトルコで禁止されている分離独立派のクルディスタン労働者党(PKK)と、同党がトルコで行ったテロを非難します。シリアでは、クルド勢力がダーイシュと効果的に戦っています。クルドの側面が既存の紛争に加わるべきではありません。

 フランスの中東和平イニシアティブはどこまで進んでいますか?

 6月3日にパリで、約20カ国の外務大臣、国連、EUが一堂に会し、決して行うことはできないと一部で思われていた会合が開催され、活力が生まれました。ネタニヤフ政権は残念ながら、2国家解決をむしばむ入植活動を続けています。両当事者は対話を再開していません。とはいえ状況は動き出しています。私は今夏、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領、アラブ諸国と連携して、イスラエルとパレスチナの歩み寄りに尽力しているジョン・ケリー国務長官と会談しました。エジプト人はパレスチナ人、イスラエル人との対話に臨んでいます。ロシア人もその用意があります。

 フランスのイニシアティブによって、この紛争とパレスチナ国家の展望を議題に戻すことができました。中東和平に関する国際会議の開催に必要な条件整備に役立つことは、すべて良いことです。

インタビュアー:クリストフ・アヤッド、マルク・セモ

最終更新日 02/09/2016

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