EUに関するイギリス国民投票の今後 [fr]

 イギリス国民は2016年6月23日の国民投票で、ヨーロッパ連合(EU)離脱を選択する意思を表明しました。

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1)ヨーロッパ市民とイギリス国民に与える当面の影響は?

 この国民投票はプロセスの第1段階で、プロセス期間中はすべての分野に既存する法律は存続します。EU法はイギリスが批准した諸条約に従って、イギリスが加盟国でなくなるまで、同国で全面的に適用されます。

旅行者・在住者

 フランス外務・国際開発省の渡航者向け情報で明示されたように、6月23日の国民投票結果がフランス国籍者のイギリス入国・滞在条件に直ちに影響を及ぼすことはありません(パスポート、有効期限内の身分証明書など)。

 イギリスに在住するフランス国籍者も、フランスに在住するイギリス国籍者も、イギリスがヨーロッパ連合から実際に脱退するまで、これまで同様に医療を受けることができます。短期滞在のフランス人およびイギリス人も、ヨーロッパ健康保険カードによって、これまで同様に公費負担医療を受けることができます。

学生

 フランスの高等教育機関や研究機関に登録済みのイギリス人学生にも、イギリスの教育機関に登録済みのフランス人学生にも直ちに影響はありません。学位の等価性はボローニャ・プロセスで始まったヨーロッパ高等教育圏に属するので、イギリスが46カ国を数えるこの高等教育圏への参加を見直さない以上、イギリスのEU脱退がこの枠内で定められたルールに悪影響を及ぼすことはありません。とりわけエラスムス計画などにおける移動性への助成金は、イギリスがこれらのプログラムの予算の一部を負担する限り支給され続けます。

2)EU諸条約で規定された、イギリスのEU脱退を承認するための手続きとは?

 フランソワ・オランド大統領、ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣ならびにEU諸機関の代表が強調したように、EUとイギリスの安定のために、諸条約によって規定された手続きは速やかに始動されるべきです。

 リスボン条約以降、一加盟国はEU条約50条に基づき、EUを脱退する選択を一方的に行うことができるようになりました。

 手続きは以下のとおりです。

  • 加盟国は脱退の決定をヨーロッパ議会に通知しなければなりません。
    イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相は国民投票の結果発表に続いて行った演説で、この手続きの開始を次期首相に任せる意向を表明し、通知日を9月以降に先送りしました。
  • 通知後、脱退条件とEUとの将来の関係を定める協定に達するため、EUと加盟国の間で交渉が始まります。
  • この協定はEUの機能に関する条約第218条第3項に従って承認されなけばなりません。ヨーロッパ議会で承認された後、EU理事会が特定多数決で決議します。

 脱退手続きの当事国の代表者は、脱退協定に関するEU理事会内の協議に参加できません。

 協定が通知から2年後に締結されなければ、交渉期間の延長がヨーロッパ議会によって(全会一致で、当該国との合意の下に)許可されない限り、当該国における諸条約の適用は終了します。

 50条は脱退権を行使した国は再加盟を希望する場合、その申請は軽減された手続きではなく、共通法の加盟手続きに従わなければなりません。

 イギリスとEUは脱退協定に関する交渉に加えて、将来の2者間関係の枠組みを定めるための議論を開始しなければなりません。

 多くのEU当局者やとりわけEU原加盟6カ国の外務大臣が2016年6月25日に強調したように、「我々は現在イギリス政府に対し、この(国民投票による)決定に可及的速やかに効力を持たせ、明確性を示すよう期待しています」

3)EUにとって、次の段階とは?

 国民投票の次期段階と影響は、イギリス国民投票の結果発表以来、ヨーロッパのさまざまな責任者の会合で中心的な議題となっています。6月24日金曜日に開催された総務理事会の後、EU原加盟6カ国の外務大臣は翌25日土曜日、ベルリンで会合を開きました。

 フランソワ・オランド大統領は6月27日月曜日、ヨーロッパ理事会のドナルド・トゥスク議長と会談後、ベルリンに赴いてドイツのアンゲラ・メルケル首相、イタリアのマッテオ・レンツィ首相と3者会談を行いました。

 この機会に3カ国首脳は以下の事項を提案しました。

  • 「27加盟国が直面する共通の課題と、決定を下すべき本質的な最重要課題をめぐるEU特別首脳会議を9月に開催すること
  • 2016年10月と12月のヨーロッパ理事会で、こうした見地の下に進捗状況を評価し、必要な指令を出すこと
  • 2017年3月25日のローマ条約調印60周年を、「ヨーロッパの結束とヨーロッパ・プロジェクトへの共通の取り組みを再確認する重要な日」とすること

 EU各国首脳とEU諸機関の代表は6月28日のヨーロッパ理事会で、2016年6月23日に実施されたイギリスのEUへの所属に関する国民投票の結果を取り上げました。出席者はイギリスの決定を認め、諸条約で規定された枠組みが発動されない限り、いかなる交渉も開始できないことを明確にしました。

 ヨーロッパ理事会議長の提案に基づき、EU27カ国首脳の非公式会合が翌29日、ヨーロッパ理事会会合の枠外で開催されました。

4)イギリス国民投票後のヨーロッパ・プロジェクトは?

 ヨーロッパ・プロジェクトの再建は、今後数カ月にわたる議論の中心となります。フランソワ・オランド大統領は「フランスが先導する」と明言しました。ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣が6月24日金曜日のインタビューの中であらためて指摘したように、「原加盟国であるフランスは、ヨーロッパ・プロジェクトが存続するのみならず、ますます魅力的になるよう全力を尽くします」

 フランソワ・オランド大統領は6月24日、安全保障、投資、租税調和化、ユーロ圏の民主的ガバナンスなどの優先課題を中心として、ヨーロッパを再浮揚させる最初の方針を示しました。

 ドイツとフランスの外務大臣は共同論考で、「移民と難民流入の課題に対処するため、安定した協力の枠組み」の設置や「経済通貨統合の完成に向けた」前進など、現下の主要課題に重心を戻した「不確実な世界における強いヨーロッパ」を呼びかけました。

 仏独伊首脳は6月27日の共同声明で、具体的な目標に基づいて強化、深化された行動のために、3つの本質的な最重要課題を提案しました。

  • 対外的・対内的な安全保障
  • 強い経済、強い社会的団結
  • 若者のための野心的なプログラム

 6月28日火曜日に国民議会で演説したマニュエル・ヴァルス首相の言葉によれば、「歴史の続きは書かれていません。ヨーロッパには選択の余地があります。〔・・・〕土台から建て直すとともに、子どもたちの前に新しい展望を切り開くために変革すること。これが我々に提示された選択です。この選択を捉えることが我々の歴史的な責任です」

 オランド大統領は2016年7月6日の閣議で、ヴァルス首相に「ヨーロッパの飛躍に向けたフランスの提案」を準備するよう要請しました。

5)フランスとイギリスの関係に与える影響は?

 フランスとイギリスは歴史の長い、密度の濃い関係で結ばれています。両国ともに国連安全保障理事会常任理事国であり、特に国連をはじめとする諸国際機関において、しばしば歩調を合わせて取り組んでいます。

 仏英関係はさまざまなレベルの定期的な連絡会合や年次首脳会談を通じて、防衛、経済、文化、科学など、すべての分野に範囲を広げながら深化しています。ジャン=マルク・エロー外務・国際開発大臣は6月24日、次のように述べました。「イギリスとは、極めて重要な2国間協定があります。中でも最も重要なのは、今後も維持されるであろう防衛協定、ランカスター・ハウス協定です。次にル・トゥケ協定があります。〔・・・〕この協定は白紙に戻されるのでしょうか?いいえ、それは実に無責任な話です。これは明確、明瞭なことだと思います」。目下の課題は「ヨーロッパ連合条約50条の枠内での交渉で、〔・・・〕ヨーロッパ連合とイギリスの関係を定めること、残念ながら、これは言うべきですが、イギリスはEU域外の国になります」

 2018年のイギリス脱退後、貿易関係がどのように変化するかは、イギリスとEUとの間で交渉される協定の種類によります。フランソワ・オランド大統領は6月30日のインタビューで、次のように強調しました。「イギリスはEU域外の国になるので、EU金融パスポートは消失しますし、それと同時に貿易パスポートも、より端的に言えばヨーロッパのパスポートも終わりを迎えます。もう一つの鍵となる点は、ロンドンでユーロによる決算業務が行えなくなることです。イギリスは長年、ユーロ圏に入っていないにもかかわらず、特例を享受してきました。これも不可能になります」

 シティーからヨーロッパの他の金融市場への取引関係について、オランド大統領は次のように述べました。「従ってフランスの銀行が態勢を整え、準備を進めるのは理にかなった当然の成り行きです。我々はパリの金融センターをより魅力的にするために、金融ルールも含めて、我々のルールを適合させなければなりません。〔・・・〕フランスはすべての有能な人材や投資家を受け入れられる状態になければなりません」

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最終更新日 25/08/2016

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