美術評論家の清水敏男氏が芸術文化勲章を受章 [fr]

 美術評論家の清水敏男氏が3月30日、在日フランス大使館のクレール・テュオーデ文化参事官により、芸術文化勲章シュヴァリエに叙されました。

美術評論家の清水敏男氏
美術評論家の清水敏男氏
清水敏男氏とクレール・テュオーデ文化参事官
清水敏男氏とクレール・テュオーデ文化参事官

 

クレール・テュオーデ文化参事官の叙勲式におけるあいさつ

 「ご臨席の皆さま、

 本日はフランス大使館にお出でいただきましてありがとうございました。本日皆さまにお集まりいただいたのは、清水敏男さんにフランスの芸術文学勲章を伝達するためです。初めに、この勲章について簡単にご説明します。芸術文学勲章は、芸術もしくは文学の分野で卓抜な創造活動を行なった方、もしくは芸術と文学の発展のために著しく貢献した方に送られます。極めて名誉な勲章であり、この勲章を伝達することは私にとって名誉なことであります。

 さて、フランスの文化大臣が清水さんにこの勲章を伝達しようと思った理由を述べたいと思います。

 清水さん、芸術の栄光は、あなたの活動に内包されているといえます。今日まで長きにわたって、あなたは芸術の発展、とりわけ現代アートの発展に力を注いでこられました。

 フランが好きで、フランス語が堪能なあなたは、東京都立大学の文学科を卒業され、ソルボンヌ大学の文明講座を受講なさり、またエコール・デュ・ルーヴルにおいて、日本人芸術家の中でも最もフランス人的な藤田嗣治を専門に学ばれました。つい最近も2002年に藤田画伯に関する本を出版されました。フランスから帰国なさった後もフランスとのつながりは途切れることなく、東京にある美術館の中で最もフランス的な美術館である東京都庭園美術館のキュレーターになられました。

 庭園美術館ほど、日仏文化交流の長さと深さを物語る場所はないでしょう。ルネ・ラリックやアンリ・ラパンをはじめとするフランスの名だたる芸術家のノウハウを取り入れて建てられ、後に美術館に改装された庭園美術館は、フランス人芸術家の作品を多く収蔵しており、開催される展覧会もその多くがフランスの芸術に捧げられています。

 1991年から1997年までは、水戸芸術館現代美術センターの芸術監督に就任されました。そこでは極めて意欲的な展覧会を開催され、ダニエル・ビュレン、クリスト、ジャン=ピエール・レイノー、ピオトル・コワルスキーなど、国際的なアートシーンの第一線で活躍する芸術家や、ミシェル・ブラジー、クロード・クロスキー、ディディエ・クルボ、ヴァレリ・ジューヴ、フランク・スキュルティなど、当代気鋭のアーティストの作品を取り上げられました。このほか、アフリカのアーティストにも注目されました。あなたは、外国のさまざまな形式のアートとの対話を進め、日本のアートシーンの開放と国際化の原動力となった数少ない人でした。

 国際文化交流に身を投じ、多数の国のアーティストや評論家、キュレーター同士の対話を築くとともに、芸術作品と大衆との距離を縮めようと尽力されました。東京ミッドタウンで開催されるアートプロジェクト、現代アートに関する国際的なイベント、2010年の上海万博の日本館のアート・ディレクターを務められ、日本人アーティストの仕事を国際的に広く紹介することにも貢献されました。

 好奇心にあふれ、広い心をお持ちのあなたは、3年ほどアメリカに滞在されました。そして帰国してからすぐ、自らの事務所であるToshio Shimizu Art Officeを開設されました。

 あなたは、公共の空間における現代アートの大胆なプロジェクトを企画することを恐れない、数少ないキュレーターの一人です。「人をつなげ、文化をつなげ、コミュニティをつなげる」ことをモットーとするあたなは、企業、学校、駅、公園、ショッピングセンター・ホテルなどで展示される作品をプロデュースされています。ただしそれは、単に作品の制作にとどまらず、コミュニティや社会の発展の軸としての文化を認知させることでもあります。

 並行して、何年も前から東京造形大学、明治学院大学など、さまざまな大学で教鞭を執っておられます。とりわけ、学習院女子大学では、アート・マネージメントを教授されており、日本や外国の著名人を招いて、社会の発展に置ける美術館や現代アートの役割と貢献について学生に教えています。日本の大学ではまだまだ数が少ない試みですが、アートの世界で働く人が新陳代謝や進歩していくためには極めて重要なことだと思います。

 あなたの活動と活力はとどまるところを知りません。展覧会の監修、プロデュース、批評、教育、執筆と出版、メディエーションなど、ありとあらゆる方法でアートプロジェクトの発展に尽力されています。子どもからお年寄りまで楽しめるようなイベント、芸術表現を探求する人の期待に応えるイベントなどです。アートは相互理解に貢献する、他者との距離を縮める、相手の立場に立つ、そういった信念があなたを動かしているのだと思います。

 これらの価値はフランス人にとっても大切であり、フランスに対するあなたの友情を表しているのだと思います。あなたは、フランスとフランス人アーティストにとって、なくてはならない存在です。勲章を伝達することによって、ささやかではありますが、感謝の意を伝えたいと思います」

最終更新日 19/04/2016

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